By.ゆみ
2004.5.15
6.20更新


速報ドキュメント・武石三代王神社参道脇の工事現場写真と調査報告 

T

5月9日(日)午前中、「千葉市の遺跡を歩く会」のサイト管理人・あるけ〜さんに教えていただいた幕張の「堂の山」のかぜひき地蔵さまへ行きました。
途中、武石から、「開かずの踏み切り」を渡って幕張に行く道の途中、三代王神社の脇を通ります。
三代王神社は、中世武石氏の探求オビシャ七年祭の調査でしばしば訪れ、この辺の貝塚や馬加城址との関連が気になっていました。

通りかかった時は、ちょうど、神社の参道脇の道路拡幅工事をしており、斜面が削られて断崖になっているのが気になって、あいにく雨が降っていましたが、帰り道、寄ってみました。

拡幅工事が急ピッチで進んでいるようでしたが、ちょうど昼休みで休んでいる作業員にことわって工事現場に入り、切り取られた崖の断面を見ました。

左斜面の断面には貝層が帯状に白く浮き出て、斜面の裾にかけては貝層が露出し、道路にまで貝殻がこぼれ落ちています。

さらに右の台地上には、V字の溝が平行して2本通っているようにも思えました。
溝の上のほうには、コンクリート片らしき現代の廃棄物もあるようですが、V字の下のほうは、白く貝殻が埋まっているようでした。
作業員の方に聞くと、貝殻が埋まっていたとのことで、残土にも貝殻が見られます。

ここは千葉市遺跡地図の三代内遺跡で、「斜面貝塚」となっているところですが、馬加城外郭として、中世の城砦遺構の一部であってもおかしくないように思え、とりあえず、デジカメで撮影し、所用を後回しにて、その日の午後、このあたりの貝塚や城郭遺構について詳しい「千葉市の遺跡を歩く会」のサイト掲示板に、画像入りで紹介しました。

 すぐに見てくださった管理人のあるけ〜さんは、その日のうちに現場へ急行され、さらに、翌月曜日には、千葉市の文化課への問合せの結果もお知らせいただき、また、12日には、この遺跡の意義など充実した内容の特集ページをUPされました。→LINK参照

5/9(日)12時半ごろ撮影の画像
「千葉市の遺跡を歩く会」BBSに送信した画像
  
上部の二つのV字の溝跡

左斜面は貝殻がいっぱいです
その他の画像 →クリックすると大きくなります

左斜面の貝層

斜面裾は古くに道幅拡張で表土がけずられているようです

下のほうの貝層


U

5月15日(土)現場撮影には絶好の晴れの天気予報、崖は東面なので、逆光にならない午前中を選んで、再度現場に行きました。

八千代市郷土歴史研究会のM事務局長(「けみ川道」の調査者で、本職は建築関係)と縄文土器製作や貝塚の貝種について詳しいS会員にも同行いただき、資料には「千葉市の遺跡を歩く会」の特集ページをプリントして持っていきました。

「斜面貝塚のところで何か遺物がみつかれば、 形成期の貴重な判断材料になるでしょう。」とあるけ〜さんに助言されましたが、棒で突っついたぐらいでそう簡単に見つかるものではなく、「釣り針や土器でも見つかればそれこそお宝もの!」と冗談を飛ばしながら、ひとまずオーソドックスに貝層の貝種を調査しました。

ランダムに、手で掬ってレジ袋に入れ、S会員にお調べいただいた結果は次のとおりです


二枚貝

上は、左から、シオフキ、ハマグリ、アサリ、マガキ

下は、サルボウ、カガミガイ、イボキサゴ、ウミニナ、バイガイ
シオフキ 100以上
ハマグリ 13
アサリ 12
マガキ 11
サルボウ 3
カガミガイ 1
巻貝  
イボキサゴ(内湾性) 43
ウミニナ 1
バイガイ 1



現場監督さんが貝層を撮影くださった
「斜面貝塚の上の部分の貝層のところ、 できましたら写真、撮っておいてください。」との注文もあり、なんとか撮りたいのですが、足場と高い型枠が邪魔になってうまく撮れません。

しかもこの日は、生コンの打設作業のため、休憩時間もなしの突貫工事で、すごく作業員や車、機械が多く、ガードマンもピリピリ!

「工事用足場に乗って間近で撮影したい」というと、「とんでもない」と断られましたが、現場監督さんに遺跡の意義や貝層の説明をお話し、私のデジカメをお預けして頼むと、代わりに足場から、真正面の写真を撮ってくださいました。

M事務局長は、工事現場の方と話すのは職業柄お得意ですし、古道の変遷についても詳しいので、この交差点はどのように拡幅されてきて現在、貝層が斜面の裾で露出しているのか、またこの工事で参道や南斜面下の道路が変わっていくのか、いろいろ聞き取りをして、撮影ポイントを指導してくれました。

道路拡幅工事が進むと、現在鳥居のある参道の階段も下半分まで道路になり、参道も曲がるように付け替えられるそうです。
6年後の七年祭の神輿は、どこを通るのでしょうね。

とりあえず、本日の報告はここまでです。


5/15(土) 午前10時半ごろ
八千代市郷土歴史研究会で貝層の貝殻調査と現場撮影

生コン打設用の重機が入って工事は急ピッチのなか、左斜面の下の貝層の貝種を調査

工事が進めば、南側道路もかさ上げになり、斜面の裾の貝層は埋められれてしまいます

参道もそのうち、付け替えられるそうで、見納めに撮影しました

参道から撮影 型枠の内側の断面

断面の写真です。(クリックすると大きくなります)


上部の二つの溝

上部左側の溝
型枠の足場から撮影してもらいました

左斜面
型枠の足場から撮影


左斜面貝層



V

6月20日また現場に行って見ました。あれから1ヶ月、工事はどんどん進んでいます。
左斜面貝層も、溝ももう見られず、5月15日に現場監督さんに撮影してもらった左斜面貝層写真などが、最後の貴重な資料となったことを実感しました。



コンクリートの壁で、斜面断面はすっかり固められました。

幕張駅西の立体交差からの新しい道がここまで拡幅されました

左手の斜面に露出している貝層は、現在よく見れる状態です

神社境内は、何もなかったように静かでした

LINK→ 千葉市の遺跡を歩く会 三代王神社参道わき工事現場で発見! 馬加城関連の堀(溝)・貝塚?

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