2015.8.5
By さわらびY(ゆみ)
75 浦和のコムナーレで 「荒川流域の地形と古代遺跡」展を開催
T 2015年夏 NPO野外調査研究所とコラボで展示会
7月30日〜8月3日、浦和駅前のコムナーレ9F(パルコの上階)の展示コーナーで、「NPO法人野外調査研究所」と「馬場小室山遺跡に学ぶ市民フォーラム」がコラボレーションして、「荒川流域の地形と古代遺跡」展を開催、ジオラマとパネル展示のほか、8月2日(日)は市民向けの特別講座も行われました。
8月2日の特別講座は、午前中は「荒川がつくる地形・地質と流路の変遷」、午後は 「荒川流域の縄文海進と環境適応」をテーマに、実物標本などを用いたギャラリートークで、猛暑の中、来場された大勢の方々にお聴きいただきました。
会場は浦和駅前のパルコの9階です
「荒川流域の地形と古代遺跡」展会場入口
左側がNPO野外研究所 右側が馬場小室山遺跡に学ぶ市民フォーラムの展示コーナーです
U特別講座:「荒川がつくる地形・地質と流路の変遷
高原勇夫氏より、荒川の姿や各地点の流れの特徴について、写真とさまざまな地図を駆使して、地学的な解説がありました。
中でも、高原氏が撮影された戸田市彩湖のカキ礁(自然貝層)の写真は、縄文海進を裏付ける貴重な写真でした。
続いて、本間岳史氏により、実物サンプルを用いた荒川上中流域各地点の岩石の種類と見分け方、岩石の生成過程についての講義がありました。
石器用石材に適した手頃な大きさと密度の礫も数多くあり、また中世の板碑に使われたの緑泥片岩など実際に手に持って学習できました。
V 特別講座:「荒川流域の縄文海進と環境適応」
荒川流域の低地の環境の変遷を知るうえで必要な泥層の珪藻化石の顕微鏡で観察を、高原勇夫氏の講義と指導で体験しました。
続いて、鈴木正博氏により、見沼の貝塚と馬場小室山遺跡についての詳細な講義がありました。
荒川下流域のカキ礁や低地の珪藻化石分析で裏付けられた縄文海進の環境下、縄文時代早期から晩期にかけてどんな貝塚がその流域で見られるのか、見沼をとりまく環境変遷が人類史にどのように反映していくのかを具体的に説明、その中で馬場小室山遺跡がもつ意義を解き明かされました。
井山さん制作の馬場小室山遺跡のジオラマを使っての解説
馬場小室山遺跡51号土坑の土器に写真と、NPO野外研究所と馬場小室山市民フォーラム共催のシンポジウムの記録を展示
中学生制作の英語版の馬場小室山遺跡の紹介ビデオを上映、ちょうど外国人の方も見ていかれました
今回のコムナーレの展示と特別講座は、自然科学分野の地学と人文系の考古学がコラボし、環境と人類史を考察するというかつてない取り組みで、大変好評で、またお互いに学ぶことの多い催しでした。
NPO野外研究所の皆様とは、次は8月21日からの「山田湾まるごとスクール」でもご一緒しますが、この異分野の二つの市民研究会の連携で、さらなる発展が期待されます。お楽しみに!