2004.1.2 By.ゆみ
2004.2.5、 2012.5.13更新 


似てる・似ていない?
身近な神社の「二十四孝」彫物比べ

T 飯綱神社・飯高神社の「二十四孝彫刻」

八千代市萱田の飯綱神社は、八千代市民にとって身近なおなじみの神社です。
ここの玉垣には、延享五年(1748)嶋村流の竹内山幸(=山中幸右衛門)の手による「二十四孝」の彫刻があり、この彫刻のルーツを訪ねて、2002年10月に八日市場市の飯高神社の玉垣を見にいったのですが、一部が盗難にあったとかで、取り外されていて、見られませんでした

2004年1月2日、再び飯高神社を訪ねたところ、玉垣の彫物は、無事元に戻されていて、じっくり鑑賞できました。
近くの飯高寺講堂も大修理を終えて、ゆっくり拝観できます。
飯高神社から飯高寺へ。文化財見学と自然探勝に、ここはお勧めのウォーキングコースです。

ところで、八日市場市飯高神社も萱田の飯綱神社も同じ「竹内山幸」(工房の手になるものなので、構図がたいへん似ています。
試しにちょっとだけ比べてみましょう。

二十四孝彫刻
テーマ
八日市場市飯高神社本殿玉垣
2004.1.2撮影
八千代市萱田飯綱神社本殿玉垣
2000.1.2撮影
丁蘭(ていらん)

木像を刻んで
親につかえる
孟宗(もうそう)

竹に哭き
筍を生ず
王ほう

雷を聞いて
墓に泣く

U 「大舜」「唐婦人」を題材にした神社彫刻の構図の比較

2003年12月の郷土史研の長作歴史散歩の下調べに、千葉市長作の諏訪神社の彫物を撮影しました。
長作の諏訪神社には本殿の脇障子に、Webサイト『江戸彫工』管理人さんのご教示では、竹田重三郎(結城小森村)と推定される「二十四孝」の「大舜」「唐婦人」を題材にした彫刻があります。

萱田は玉垣の右端、長作は縦長の脇障子という構造上の制約から、「大舜」では構図にそれぞれヴァリエーションが見られます。
また長作の彫刻は、竹内山幸の作品に比べ、薄くシャープな彫りで構図も洗練されています。


「大舜」

長作の諏訪神社
2003.12.23

萱田の飯綱神社

八日市場市の飯高神社
「唐婦人」

長作の諏訪神社
2003.12.8

萱田の飯綱神社

八日市場市の飯高神社

参考HP:
「江戸彫工」  (江戸期の寺社彫刻の系譜研究の最先端を行くHP。画像データも豊富です)
「文化財散歩」 (八千代市公式HP)

参考文献:
「常総地方の社殿の彫刻−『二十四孝』について−」 河野弘 2002 『常総の歴史』第25号 崙書房

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