2004.7.31 By.ゆみ


-真夏の大地に 雨を祈る-

館林市木戸町の
ささら舞を追って その3





獅子頭をいただき すこやかに育て


6. ムラの鎮守の赤城神社で

 獅子頭さまには赤城神社の社殿でゆっくりお休みいただいているうち、一同も境内の会館でしばし休憩です。
 お豆腐をつまみにビールで充分水分とカロリーを補給。 
 外では、見物の家族連れに、カキ氷がふるまわれます。熱中症対策にはこれが一番なのでしょう。

まずは水分とカロリーを補給

ツメターイ、見物の家族にはカキ氷がふるまわれます

 だんだん家族や関心のある近くの家の人が集まってきて、いよいよ獅子舞の奉納が始まる気配です。

 獅子頭を頭に被ると健やかに育つというご利益があるのでしょう。
 赤ちゃんがお参りに来ると、おじいちゃまが獅子頭を頭に乗せて、健やかな発育を祈願するのもほほえましい風景です。
 

7. ささら舞の由来

 今日は、ムラの外からもお客が見に来てくれたからといって、ご病気にもかかわらず保存会会長さんが木戸町ささら舞の説明をしてくださいました。
 
 このムラでささら舞が始まったのは天正15年(1587)の7月。
 大洪水で、近くに流れてきたオジシの頭をすくい上げ、お坊さんがこれに雌雄2体の獅子頭を作って3匹にし、獅子舞を始めたそうです。

 赤い塗りの頭が雌獅子、黒が雄獅子で、鼻の穴が大きいほど古い形式だそうで、ここ木戸町の頭も鼻が大きくふくらんだ形をしています。
 
 前垂れは、沢の図柄を京都の染物やさんに頼んで作らせた特注品で、お値段もけっこうかかるようです。

 
 


棒術の披露 うしろではシャギリが舞われます

四隅をまんとうが固める中、イリハが舞われます

ハシガカリのイントロは、花に見とれる獅子の舞い

朽ちた橋をこわごわ渡る雄獅子
7. 奉納獅子舞の所作
 

お囃子用のカンニングペーパー?
ちゃんと背負えるようになっています
民俗音楽研究者には貴重な資料
 神社で奉納される獅子舞の演目は、シャギリ(社切)、イリハ(入庭)とハシガカリ(橋掛)です。
 シャギリの時には棒術も披露されます。柳生流の六尺棒と太刀で迫力ある立ち合いを見せてくれます。

 シャギリは、神社のほか区長さん宅でも奉納される諸悪を払う舞。 イリハは、10通りもあってその舞を習得するのはとてもたいへんなのだそうです。

 現在は、「木戸町ささら舞保存会」でその伝承につとめ、昭和30〜40年ごろ群馬県大会で最優秀になった経験もあるのですが、その頃の若者も今は中高年。若い後継者へのバトンタッチが課題のようです。

 ハシガカリは、ちょっとした舞台装置?をともなう狂言風の演目です。
 深山幽谷を行く三匹の獅子が、花に見とれてまず「ハナミ」をします。
 花見の途中で、雄獅子が朽ちて壊れた橋を見つけ、度胸試しに渡ってみようとするのですが、怖くてまよいます。
 雌獅子が見ている手前、引き返すのも口惜しいので、意を決して朽ちた橋を渡り、もう1匹の雄獅子も勇気を出して渡りきるというお話になっています。
 強そうな雄獅子が、橋が大丈夫かとこわごわ渡るしぐさがとてもユーモラスです。

 最後に次のような唄の「おいとまもうしていざ帰ろう」がうたわれ、獅子舞奉納は終了します。

   よそのささらは 拍子木打つが われらのささらは 曲をうって みしようかな
   国からは お急ぎもどれの 文が来た おいとまもうして いざ帰ろう 帰ろうかな