Photo 2007.7.10〜20
UP 2008.4.30 By.ゆみ


2007年7月10〜20日
 

=イタリア聖地巡礼
旅日記=
天正少年使節の足跡を追って Y

7月12日 ローマにて-6

7月12日(水) 

テルミニ駅前のイエスの聖心教会(Sacro Cuore di Gesu)

 さてローマの3日目、再びローマ市内中央のミネルバの教会へ、そしてアッピア街道から城壁外のカタコンベ、聖パウロ教会など古代からの由緒ある教会堂を訪ねます。
 朝食後、バスはバチカンの丘から混雑するローマの街中を通り、ローマ・テルミニ駅の前で臨時停車。
 コンプリ神父が「古代の聖堂ではないけれど、ぜひここは寄って行きましょう」と入ったのは、イエスの御心教会でした。
 なぜ寄ったのかというと、コンプリ神父の所属するサレジオ修道会の創立者ドン・ボスコが最晩年に建てた大聖堂で、特別に思い入れのある教会だったからです。

 晩年のドン・ボスコに、時の教皇レオ13世がローマの聖心大聖堂建立を委ねた時、サレジオ会の評議員たちは、老いたドン・ボスコのことを気遣い、また同じ意向で建立されるパリのモンマルトルの聖心大聖堂と募金が競合することから全員反対しました。
 しかしドン・ボスコは、東奔西走して資金を集め1884年5月14日ついに完成。聖別式の間、何度も老いの目をぬぐったのとこと。
 私の育ったミッションスクールもドン・ボスコのサレジアンシスターの学校でしたから、とても懐かしい聖堂でした。

 
古代遺跡(5百人広場)と一体化したテルミニ駅        その向かい側ホテルや店舗に並ぶ駅前に、キリスト像のそびえるイエス聖心教会が・・

     
左:完成時にドンボスコが涙したという脇祭壇の聖母子像          右:ローマ聖心大聖堂正面内陣、19世紀のローマンスタイル

 
カンピドリオの丘と古代ローマ遺跡

 ローマという都市は、紀元前6世紀から連綿と続く史跡と共存する文化財の超過密都市。
 しかもその文化財は、古代から中世そして近現代の生活と文化が幾重にも重層しながら、過去の「遺跡」ではなく、現在に生きる庁舎であり、文化施設であり、そして教会という宗教施設として今も息づいています。

 ローマ市街地の西端、バチカンの丘から中心部のテルミニ駅周辺まで、一方通行で迂回しながら、渋滞する道路からゆっくり眺めているだけで、二千数百年の歴史が展開してきます。

 その中でも、ローマの七丘でも最も高い丘であるカンピドリオの丘は、古代ローマの最高神ユピテルの神殿のあったローマの中心でした。
 古代ローマの皇帝たちが凱旋したフェロ・ロマーノからの「聖なる道」。その道が向かったこの丘には、ミケランジェロが設計したルネッサンスの傑作「カンピドリオ広場」があり、正面には今も現役のローマ市庁舎があります。
 その左側がカピトリーノ博物館、右側はコンセルヴァトーリ宮殿美術館で、この間の小道を行くと、フォロ・ロマーノを見下ろせる場所に出ました。


マルチェロ劇場 一万人が収容できた
ジュリアスシーザーが着工 アウグストスが完成

カンピドリオの丘へは、こちらのゆるい坂が楽です
    
ローマ市庁舎(アンサンスーチンさんの写真が人権尊重を訴える) 手前は マルクス・アウリウス像。
右:狼の乳を吸うロムルスとレムスの像
  
市庁舎の裏側から古代遺跡・フォーロ・ロマーノを望む。


サンタ・マリア・イン・アラチェリ教会

 この古代ローマの最も神聖なカンピドリオの丘にあるのが、サンタ・マリア・イン・アラチェリ教会です。
 574年 ユピテルの妻ユノーの神殿の上にビサンチン様式のバジリカが建てられたのが始めといわれています。
 またこの場所でアウグストゥス帝がティブルティンの巫女による神託を聞こうとしていていると、幼子を腕に抱く聖母が現れ、キリスト到来の予告と「アラチェリ=神の子の祭壇」が建つだろうというお告げを聞いたとという伝説に基づいて建てられた教会とも言われます。
 最近では、数年前にサッカー選手トッティ氏が結婚式をあげた教会としても、ローマっ子に有名。


   
左:外観は地味なサンタ・マリア・イン・アラチェリ教会(カンピドリオ広場の階段が女坂なら、教会の正面階段は男坂?)
 右:教会での結婚式へ参列者が昇ってきます。まるで映画の一シーンみたい。
  
左:カンピドリオの丘からローマの街が一望                 右:教会入口上のモザイク
 
 結婚式用のバージンロードが準備された教会内部
外観は地味でも、中は各時代の様式で装飾され、息をのむよう!

      
左:奥に聖へレナに捧げられた小神殿型礼拝堂        中:正面の聖母のイコン            右:天井の装飾です 

     左:ファティマの聖母の祭壇には、ろうそくが絶えることなく捧げられている
中:奇跡を行う力がある聖幼子の礼拝堂の「聖幼子」の像には、世界中から手紙が届く 
右:右側廊礼拝堂のウンブリアの画家ピントゥリッキオ作「聖ベルナルディーノの物語」
  
歴史もさることながら、教会正面からのこの眺めがやはりローマっ子の教会たるゆえんでしょう。
坂を下りて、次はサンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会とパンテオンへ向かいます。