2008.7.5 By.ゆみ
第4回さわらび考古学教室 北総の古墳探訪 VOL.V
「印旛沼周辺の終末期古墳を知る」=大塚初重先生と行く平戸台8号墳&岩屋古墳見学会=
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☆プロローグ
さわらび考古学教室も、友人皆様のご要望にお応えし、今回第4回目を迎えます。
昨年の第2回目は、大塚初重先生と公津原古墳群を探訪しました。
⇒「印波国造の本拠地を探る」大塚初重先生と巡る公津原古墳群見学会
2008年6月18日(水)に行われた今回も、印旛沼南西岸の八千代市平戸台古墳群の発掘調査を見学し、午後からは印旛沼北岸の竜角寺古墳群の岩屋古墳について展示会見学を含め現地を見学、合わせてこのテーマでは最高級の大塚先生の解説を傾聴しながら、印旛沼周辺の古墳終末期の様相について実地に学ぶというとても贅沢な企画となりました。
梅雨さなかの日程で心配された天候も、この日はさわやかに晴れて、意義深い見学会がスタートしました。
岩屋古墳にて・大塚初重先生と
☆2008.6.18コース
10:00 勝田台北口出発
10:30 平戸台8号墳見学
12:10 夢庵印旛栄町店で昼食
13:10 房総のむら 風土記の丘資料館
トピックス展「岩屋古墳と竜角寺古墳群」見学
14:00 大塚先生の講演(資料館集会室)
15:00 岩屋古墳見学
(西側石室に入室・舌状地形実踏)
16:00 現地解散 (=16:40勝田台)
☆古墳の発掘調査を実際に見る
発掘調査中の平戸台8号墳(青シート下に石棺は埋納されている)
撮影 08.5.17現在
午前中は、八千代市教育委員会が現在発掘調査中の八千代市の平戸台8号墳を、調査を担当している常松成人氏のご案内で見学しました。
この古墳は、一昨年(2006)の6月、「印旛沼周辺の弥生土器シンポジウム」実行委員会の協賛行事として、「八千代市の遺跡と古墳巡り」の見学会をした際、大塚初重先生と藪こぎで実踏した思い出深い円墳ですが、この度、資材置き場にされるため、行政による緊急調査となってしまったのです。
すぐ近くの平戸台2号墳では、平成11年の調査で石棺内から15体分以上の人骨、鉄製直刀、ガラス製玉類がなど出土しています。
これらの遺物も一昨年(2006)、大塚先生に直接ご覧いただき、その見方やその考古学的な意義をお教えいただきました。
今回調査中の平戸台8号墳は、2号墳と同じく石棺が検出されています。
そのタイムカプセルが開く日も間近いとの予想し、梅雨の晴れ間を祈っての今回の見学会でした。
大塚先生の楽しいコメントも次ページに載せましたので、お読みください。
☆終末期古墳についての考古学最前線情報を知る
午後は、千葉県立房総のむらの風土記の丘資料館で、トピックス展「岩屋古墳と竜角寺古墳群」を永塚俊司研究員のご案内で見学しました。
岩屋古墳は古墳時代終末期に造られた、全国的にも最大級の大きさを誇る方墳です。
昨年度栄町教育委員会により行われた測量成果では、石室から谷に向かう「舌状の張出地形」など新しい知見が得られているとのことでした。
大塚先生は、「千葉県岩屋古墳」(『東国の古墳文化』)など、岩屋古墳に関して、また前方後方墳研究で先駆的な業績を上げられていらっしゃることは、皆様よくご存じのこと。
新しい調査成果や近年の文献研究などを踏まえ、大塚先生の熱のこもったお話を拝聴するすばらしい至福の時間を一部、HP上に再現しました。
岩屋古墳実踏のルポと合わせ、ご覧ください。
☆「さわらび考古学教室」とは
「さわらび考古学教室」は、「Don Panchoのホームページ」に書いてくださったように、2005年5月、「さわらび通信」BBSなどを通じて遺跡保存のため自然発生的に集まったさまざまな方々と、考古学になじむ機会としてイベントを企画、その時に講演してくださった鈴木正博さんが「思いつき」で名づけてくださいました。
考古学最前線の課題と遺跡をテーマに、知りたい・歩きたい・ふれあいたいと思う「さわらび通信」管理人とその仲間で企画し、今回大塚初重先生のご協力で第4回目となりました。
管理人のまったくの任意、不定期で行っていて、会員制でもありませんので、次の企画を期待される方は、引き続き「歴史に好奇心!さわらび通信」記事と掲示板をリピートくださいませ。案内役のお申し出も歓迎します。
☆参考 「さわらび考古学教室」実績
第1回 2005年5月24日 霞ヶ浦湖畔の貝塚遺跡と「山野を駆ける土偶」展を見学/「Don Panchoのホームページ」
第2回 2005年8月20日 「手賀沼周辺の出現期〜前期古墳を巡る見学会」
第3回 2007年5月3日 「印波国造の本拠地を探る」大塚初重先生と巡る公津原古墳群見学会
第4回 2008年6月18日 「印旛沼周辺の終末期古墳を知る」=大塚初重先生と行く平戸台8号墳&岩屋古墳見学会=
第5回 2009年10月17日 「向ヶ岡弥生町」の史跡探索
☆「さわらび通信」の関連HP
⇒ 姿を現した八千代市平戸台8号墳=その発掘調査と見学ルポ
「印波国造の本拠地を探る」大塚初重先生と巡る公津原古墳群見学会 /「さわらび通信」
=成田ニュータウンの中の古墳群=台方下平遺跡にくらした人々の奥津城を訪ねて/「さわらび通信」
緑なす公津原にのこる古墳は人びとの生きた証/さわらびYの歴史・民俗・考古探索ノート
下総に律宗の痕跡を追って1.古代寺院竜角寺の中世 /「さわらび通信」
6月7日(水)=大塚先生と八千代市の遺跡と古墳巡り=の報告/やちくりけんブログ(八千代栗谷遺跡研究会)
多古町塙台遺跡の再葬墓土器群見学と風土記の丘周辺の古墳探索 /やちくりけんブログ(八千代栗谷遺跡研究会)
☆参考HP
トピックス展「岩屋古墳と竜角寺古墳群」/千葉県立房総のむら
☆配布資料
・「平戸地区の埋蔵文化財調査と弥生・古墳時代の主な遺跡・遺構について」蕨由美
・八千代市の平戸台古墳群・間見穴古墳群の地図・実測図など(各報告書から)
・平戸台8号墳実測図(常松・作成中)「古墳の造られた時代」「いろいろな古墳」(『図説 成田の歴史』大塚初重 編・著)
・「『図説 成田の歴史』編さんを終えて」大塚初重 (『成田市史研究第19号』平成7)
・「千葉県岩屋古墳」大塚初重(『東国の古墳文化』六興出版. 1986 初出「千葉県岩屋古墳の再検討」『駿台史学 37』1975))
・「終末期古墳」白石太一郎(『千葉県の歴史』資料編 考古4)