2006.3.12up By.ゆみ(Y)

速報写真-第2弾−
2006.3.5PM「市民フォーラム」本番編

第2回馬場小室山遺跡に学ぶ市民フォーラム-見沼をのぞんだ縄文むら-
主催:「馬場小室山遺跡に学ぶ市民フォーラム」実行委員会 


2006.3.5PM 老いも若きも、勉強熱心な聴衆で、フォーラム会場は超満員

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☆午後から市民フォーラムが始まりました。

午後からいよいよ、本番の市民フォーラムの開催です。。
12時半の開場を待たず、たくさんの近隣市民の方や、遠方から考古学や歴史に興味のある方々が続々いらっしゃいました。
実行委員会事務局は、座席の増設にうれしい悲鳴! 
配布資料はりっぱな予稿集のほか、「ばんばおむろ山ニュース」、「みぬまっぷ」など多数。さらにカンパにに協力いただいた方には、井山氏の「縄文馬場小室山想像図」の絵葉書セットもプレゼント。

午後1時、大田委員長の、感銘深いご挨拶で市民フォーラムは始まりました。

続々お出でになる来場者に、資料を配布する受付スタッフも大忙し。
 

遺跡地図「みぬまっぷ」に
開始までの話が弾みます。

 

大田尭実行委員長・阿部芳郎副委員長もスタンバイ
 
 



大田尭委員長(東大名誉教授)の
開会挨拶の一部の要約

「私は、子供が大人になる人の成長過程、人間学、特に教育哲学を専門にしてきましたので、何よりも人間への関心が強く、したがって、今日のこのフォーラムが、数千年前から住んでいた人も生態を、一つの欠けらから想像して見出していくというアーケオロジー、考古学を市民と一緒に考えていくすばらしい機会だと思うのです。

私たち人間は、現在はもろもろの制度や地位・身分を背負って、自分が何であるかということが見えにくくなっています。考古学には、昔を調べると同時に、様々な制度や身分を除いた本当の人間の値打ちをかえりみることに、すばらしく大きな意味があると思います。

今日お集まりの皆さんにも、人は何であるかを問うという好奇心が共通しておありになることと思います。
機械と制度に覆われ、それに使われている人の姿ではなくて、本当に人として二本足で立って、自然に触れて、その中からモノを生み出していく我々の先祖の姿を考えることによって、現在社会の中で人の再発見を心がけることが、現在の課題ではないかと、私は考えています。

皆様にもそういう好奇心があるにちがいない、それでなければ、こんなに大勢の方がお集まりになるはずがない、まさに現代はそのことを求めているのだということを強調したいと思うと同時に、今日のこのフォーラムの成功というものが非常に深い意味を持っているということを感じつつ、成功を祈っている次第です。

 

        

「失われた馬場小室山遺跡を想像する芸術文化」のコーナー 
飯塚事務局長の映像とピアノ演奏、井山紘文氏(画家・実行委員)の縄文をテーマにした絵画作品と馬場小室山の四季の想像画の紹介


  

永年浦和市で埋蔵文化財、特に馬場小室山遺跡の調査を中心的にたずさわれてきた青木義脩氏の講演
「見沼周辺の考古学的調査 ―馬場小室山遺跡を中心に―」 

 

 
☆休憩時間は展示が人気
   
左は青木義脩氏が調査された当時の実測図、スクラップブック、著書などの資料のコーナー  右は市民参加の展示コーナー
 
   
個人が集められた土器片や石器が、当日届けられました。
馬場小室山遺跡の工事現場で収集、拓本採りして整理されたもののほか、家の敷地内から出土した土器片や、見沼田んぼの造成地に廃棄された土器片など、住民の方からと持ち込まれたものも複数あり、一部は展示コーナーに並べ、見ていただきました。

 


初めて見る第32次調査の概要

馬場小室山遺跡の第32次調査の速報を、さいたま市遺跡調査会主任調査員の柳田博之氏にスライドを使って講演いただきました。

浅く表土を削っただけで土器が見えてきた



晩期住居跡の下中期(内側)と後期中葉の住居跡が重複していた

第39土坑の土層断面
中心覆土はやわらかく、上部に住居跡らしい遺構が存在

第13・14号土坑、壁際に十数個の土器が出土


土坑の深さは3mを超えた

晩期の円形土坑断面。
土偶や耳飾、サメの歯のペンダントなどの多量の遺物が含まれている

みみずく土偶の出土状況

土器の出土状況


☆馬場小室山市民フォーラムからの提案
馬場小室山遺跡を核にしたパブリック・アーケオロジー実践の試みが、事務局から提案され、また、今日の報告やスライドを通じて、「環状盛土」の正体とはやはり集落跡であったことを確認(⇒「パブリック・アーケオロジーからみた馬場小室山遺跡の価値」)しました。
最後に阿部副委員長が閉会の挨拶。以上の今回の市民フォーラムの意義をまとめられ、さらに同じところに長期間住み続けたという遺跡のなぞを、地域の研究ととも解明していきたいと今後の展望を述べられました。
   
『自分だけの「みぬまっぷ」をつくってみよう』という呼びかけに、会場も楽しく作業。 

阿部副委員長の閉会の挨拶

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 馬場小室山遺跡調査の中身を知りたいと望んで一年半。
 本来なら調査終了前に、現地説明会などで体感したかった遺跡の姿でした。
 もしその姿をたくさんの市民や研究者が見ていたなら、その後の遺跡のありようは、今とはずいぶん変わっていたでしょう。
 結果として、行政ではなく、心ある市民の行動力と熱意が核となり、遺跡調査に心血を注いだ担当者の協力をえて、今回ついに、市民フォーラムとして実現できました。
 馬場小室山遺跡調査の内容を明らかにしたこのフォーラムの成功により、馬場小室山遺跡が、史跡として再生する今後の道筋がやっと整ったといえます。
 これからも、小室山に集い、歴史的文化遺産の保存と活用をすすめながら、先人たちの遺した「見沼文化」をともに考えていきましょう。
 ご参加、ありがとうございました。
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 ⇒「3.5馬場小室山遺跡に学ぶ市民フォーラム」プログラム 

⇒橿原日記「見沼を眼下にのぞんだ縄文集落の謎」Don Panchoのホームページ