2007.10.17up By.ゆみ(Y)

2007.10.8  主催:「馬場小室山遺跡に学ぶ市民フォーラム」実行委員会 

36 第4回馬場小室山遺跡に学ぶ市民フォーラム
−「見沼文化」と漆工芸−


T フォーラム AM 編


 

「今年は漆とハイ・テクノロジーのお話だよ」          「オムちゃん」は漆工芸のスペシャリスト?

 

* * * * * * * * * * * * * * * * 

馬場小室山に 三度目の秋がまたやってきました

「馬場小室山遺跡に学ぶ市民フォーラム」も回を重ね、4回目となりました。
今回は、見沼という自然環境と、「縄文のハイ・テクノロジー=漆」の科学と最先端の考古学、そして新しい「考古市民学」の方向を考えます。


配布資料・展示物の運び込みで準備がスタート

フォーラム会場設定は慣れたもの!

市民交流会の展示準備も着々と・・


* * * * * * * * * * * * * * * * 





大田尭実行委員長の開会の挨拶

「文化とは、人が道具を使うことから出発しました。・・              
だから土器のかけらには、人類が人類たる意味が込められているのです。」

教育学がご専門の大田先生のごあいさつから。

「見沼文化とは、つまり『文化』とはなんでしょう。

うちに集まる経営者たちのサークルで、『文化とはなんですか』ときかれたので、あなたはどう考えますか、(『文化住宅』とか『文化饅頭』なんて言うのもあるけれど、)モグラは地下にどういうようにして穴を掘るのでしょうと、問いかけました。
モグラは、手で土を一生懸命かいて、手はシャベルのように変形しました。それが進化のプロセスです。

しかし人間は体の外の道具を使いました。これが『文化』です。
ほかの動物と違って、人が道具を使うことから出発したのです。

土器を作る、網で魚を捕る、鍬で耕すというように、人が外に道具を持つということは、意味深いことです。

土器のかけらに、人類が人類たる意味が込められているのです。」

開会の挨拶・大田尭先生

* * * * * * * * * * * * * * * * 

☆AM(1)  基調講演「馬場小室山遺跡と最先端の縄文考古学」

「環境変遷史と人類活動について、自然科学と人文科学のワクを超す研究が始まっています
明治大学の学術フロンティアは、馬場小室山の学際的な活動にも光を当てていきます」


基調講演の阿部芳郎氏
大田先生の挨拶に引き続き、阿部 芳郎氏(明治大学文学部教授)に、「馬場小室山遺跡と最先端の縄文考古学」について基調講演いただきました。

「地球の温暖化に適応した人類の社会活動から縄文文化が成立し、寒冷化に伴って縄文文化が終焉します。
そのころ、馬場小室山も最後を迎えました。
環境変遷史と人類活動について、自然科学と人文科学のワクを超えての研究が始まっています。

明治大学の学術フロンティアは、古環境の復元・遺跡調査・出土遺物の理化学検査・成果の展示公開の4部門からなります。

先端的な研究は、根の部分が大事です。
他者の様々な研究分野の長所・短所を理解し、グループができると個別を超えた力ができてきます。
一緒に経験をするということは、全く違う分野で活動する学際的な馬場小室山同じで、このフロンティアから、馬場小室山にも光を当てていきます


☆AM(2)  入門講座 「漆」の話-「見沼文化」を豊かにした縄文時代のハイ・テクノロジー-


神谷 嘉美氏 (明治大学理工学部助手・漆工芸作家)
今回のフォーラムのメーンは、漆の話。
少女時代から漆工芸の作家を志し、そのメカニズムを探求するため理工学部で研究に励んでいらっしゃるとてもチャーミングな神谷さんに、縄文文化の華「漆工芸」について、理化学的な基礎知識を含め、漆の魅力について、やさしく教えていただきました。

「縄文時代の漆製品は、
是川中居遺跡で出土した籃胎(らんたい)漆器の編み・組み技術を見ても、とても繊細で技術的にも優れています。
漆塗りの土器もそうですが、編んだ下地に何回も塗り重ねます。
漆はとても手間がかかる技術で、ベンガラを使った赤く彩色する方法は、現在もそのやり方は同じです。
漆黒は、今は松煙などを混ぜますが、縄文時代は素黒目漆を何回も塗り重ねていました。
技術は試行錯誤ですが、意外と縄文時代の技術は、ハイテク・・かもしれませんね。」

漆には環境と地域に適応した3種類の分布があるそうです

漆が丈夫な膜を造る「重合」反応のメカニズムをやさしく解説

⇒ U 市民交流会ギャラリー会場 編へ