2005.10.15
By さわらびY(ゆみ)
25 フォーラム開催へ 全力疾走の熱い日々!
2005年夏、そして初秋へ、10月1-2日の「馬場小室山に学ぶ市民フォーラム」に向け、馬場小室山研究会そして、市民フォーラム実行委員会のメンバー全員が、それぞれの力を結集する日々がやってきました。
市民の手で土器の拓本をとり整理して資料集をつくる作業や、フォーラム内容をより深化するための準備もいよいよ山場を迎え、筑波大の大学院生は資料調査のため泊り込み体制となり、わが家恒例の夏休み旅行も今年はなし。
毎週末、ワークショップと事務局ミーティングが続きましたが、それぞれが暑さに負けることなく充実した活動にいそしんだこの夏の思い出は、まさに「市民によるフォーラム開催メーキングドラマ」でした。
8月7日(日)
午前中、市民フォーラム会場となるさいたま市のプラザイーストを下見に行きました。
最大300人入れる多目的ルームは、さすがりっぱ。わくわくした気持ちと、本当に私たちにできるのだろうかという緊張感が脳裏をよぎります。
会場の下見が終わると、近くの緑区役所の会議室で、事務局会議。フォーラムの呼称は「馬場小室山に学ぶ市民フォーラム-見沼をのぞんだ縄文のむら」と決まりました。
午後からは、三室公民館で馬場小室山遺跡研究会の第9回ワークショップ。前回、、採集月日、採集場所別、部位別に分類した土器片の写真撮影をし(⇒馬場小室山遺跡保護資料一覧)、続いて型式別にも撮影、さらに土器の拓本をとる作業も始めました。
画家の井山氏が、ポスター用の復元想像図の
原案を持ってきてくださいました
緑区役所の会議室で、事務局会議
フォーラムのテーマ名が決まりました
大学院生の指導で
土器の拓本をとる作業を始めました
8月13日(土)
お盆の最中、第10回ワークショップが三室公民館で開かれました。隣の文珠寺はお香の匂いが立ち込めて、一日中にぎやかです。
馬場小室山遺跡と、第2遺跡(遺物包含層廃土が投棄された見沼田んぼ埋立地)から採集、保護した土器片の拓本採りも本格化してきました。最終的には、実測まで行って報告書を作成し、その一部をフォーラムで市民向けに配布するのが目標です。
隣の文珠寺は墓参りで長蛇の車と人!
今日は盆の入りでした
井山画伯のイラスト入りのポスター試作品ができてきました
土器を型式で分類、
微妙な紋様の変化が面白いですね
土器の拓本採りの作業も板についてきました
8月20日(土)
第11回のワークショップの日、この日は、阿部先生ほかフォーラム出演予定パネリストの方々、明治大学ボランティアの皆さんに遺跡を見ていただき、フォーラムの学術的な内容を討議しました。
プレフォーラムでは、縄文時代研究の到達点から所謂「環状盛土遺構」研究の抜本的な見直しを行うこと、あわせて「馬場小室山遺跡の特徴」についての研究発表と、「見沼文化」という新たなる視点から人類史的現象を探る試みが示される予定です。
この日も猛暑の一日でしたが、学術的な内容の明確化で目標に向け弾みのついた一日でもありました。この日の写真撮影は、橋本さんにお願いしました
馬場小室山遺跡の見学会
先生も院生も市民も皆で拓本採り
パネリストのフォーラムへ向けた熱い討論
8月27日(土)
この日の第12回ワークショップは、会場をフォーラム本番と同じプラザ・イーストのセミナー室で行いました。
土器の拓本とりも順調に進み、この日は専門ボランティアによる土器の実測も進められました。
土器の拓本とりもなれましたが、 まだまだいっぱい残っています。 |
専門ボランティアによる 土器底部の実測 |
「大森貝塚」の土器の図版を参考に 加曽利B式の土器の特徴の説明 |
9月3日(土)
午前中から三室公民館で事務局の打ち合わせ、そして午後から第13回ワークショップ を行いました。
久しぶりの事務局ミーティング ファーラムのポスター・チラシのデザインは? |
恒例の考古学実習 土器の拓本にもすっかりなれました |
実測作業 |
9月10日(日)
プラザイーストで、午前中は、チラシ印刷やファーラム案内状の発送作業。
案内状のデザインや、DM用ラベル印刷など、事務局の多彩な「特技」が発揮され、順調に作業が進みました。
午後は第14回ワークショップを行いました。土器の拓本とりは、この日で終了。
最後に2名の大学院生のこの間、さいたま市内に泊り込んで文献をくまなく調査して得られた『人類史としての「見沼文化」』と、馬場小室山遺跡の中期からのむらの遺構などの知見を披露し、フォーラムへ向けての学術的な内容の深化を見せてくださりました。
いよいよ、フォーラムが具体的に近づいてきたと感じさせられた一日でした。
案内状の発送作業にも心がこもります |
この日で拓本採りはおしまい |
土器の実測作業 |
調査の成果を報告「見沼の地形と遺跡の分布は・・」 |
9月17日(土)
都内の大学研究室の場をお借りして、コーディネータの阿部先生を中心に遠方からのパネリスト・司会役の方々を中心にフォーラム内容の確認と、2日間お手伝いいただく学生ボランティアとスタッフの打ち合わせが夜に行われました。
この日は、朝からの「千葉の遺跡を歩く会」主催の貝塚の学習会と「園生貝塚」見学会がおこなれ、鈴木正博氏が講師を務め、事務局スタッフも参加した日でしたが、「環状盛土」の定義をめぐって、日中の疲れを吹き飛ばす熱い議論が展開されました。
9月19日(月)
朝から事務局会議と、午後からの第15回ワークショップ。
馬場小室山遺跡や「環状盛土遺構」をめぐる考古学的な内容に加えて、フォーラムで提案する「パブリック・アーケオロジー」の概念、すなわち「市民の、市民による、市民のための考古学」のついての紹介と内容の検討をしました。
土器の拓本を切り抜き 台紙に貼る作業をしました |
「何をしているの?」 公民館に来た方々が急遽見学 |
「パブリックアーケオロジー」を研究テーマに 愛媛県宇和町の実践例を紹介 |
9月25日(日)
フォーラムを間近に控えて、午前中は記録映画の制作のためのカメラマンも同行、遺跡の現状を観察しました。
午後は事務局会議、研究会第16回ワークショップ、委員長大田尭先生を交えての実行委員会とハードなスケジュール。
参加者も多く、フォーラム本番の日を迎える機運も熟してきました。
北側の盛土(「1号土塚」)の撮影
盛土から中央窪地へ下りていくところ
ワークショップは土器と拓本の照合作業
大田尭実行委員長との打ち合わせ
9月30日(金)
フォーラム前日の30日、事務局最終ミーティングと配布資料の整理、フォーラム会場設営作業などの最後の準備が10時半からプラザイーストで行なわれました。(この日、私はお仕事、写真と報告はさわらびTからです)
一日用のプレフォーラム予稿集は、本職の印刷屋さんに頼みましたが、2日目無料配布の資料集は、80ページ300部を全て手作り。 現物提供された用紙も使って、東大能研の「印刷工場」がフル回転して刷り上った資料を、29日人海戦術で製本作業し、仕上がったものです。
表紙は、表に井山氏の「見沼をのぞんだ縄文のむら」の絵、裏は、「さわらび通信」が最初に発信した遺跡の概念図をカラーで印刷。飯塚家のインクジェットカラープリンターが昼夜を問わず稼動して完成しました。
様々な特技や職業経験をもつ市民という広いジャンルの人々の結集、資材の提供や物心両面のご支援で、これだけ大きなイベントとその入念な準備が可能になったことは、本当に特筆すべきことです。
プログラム進行や事務局スタッフの細かい打ち合わせ、そしてパネルディスカッションの内容の最後のつめが夜遅くまで続き、さあ、会場を閉めて今日はおしまいという時、あるけ〜さんが苦心して作製した垂れ幕が届きました。
明日、明後日のさいたま市の天気は快晴です!
市民、研究者のみんなの手作りの資料集が届きました わかりやすく豊富な内容です。 |
配布資料を整理し、スタッフ用に袋詰め 当日は大勢のボランティアも集結します |
作業が終わって、スタッフ会議 役割分担の入念な確認が続きます |
夜が更けても、パネルディスカッションの 内容のつめが続いています |
会場を閉めて今日はおしまいという時、りっぱな垂れ幕が届きました。 |
そして一夜明けて⇒馬場小室山遺跡に学ぶ市民フォーラム-見沼をのぞんだ縄文むら-