2006.9.19
By さわらびY(ゆみ)

31 夏の終わりの小室山から 秋の第3回フォーラムへ向けて 


見晴らしのよいセミナールームでのワークショップ
 8月12日(土)の第23回馬場小室山遺跡研究会のワークショップは、さいたま市のプラザイーストの見晴らしのよいセミナールームで行われました。
 この日の夜はさいたま市の花火大会のようですが、晴れているのに早々中止順延のアナウンス防災用スピーカーから流れています。
 どうやら、午後からの雲行きは一時雨のようです。

 今回からいよいよ 第3回「馬場小室山遺跡に学ぶ市民フォーラム」について、プログラムなどの準備が始まります。
 みなさんがそろって、ワークショップを始めると、遠くから雷の音、そのうち稲妻とともに一時は激しい雷雨になりました。
 夏の終わりを感じさせるダイナミックな稲光りを窓越しに眺めながら、和気藹々フォーラムへ向けての企画の話し合いと、レジメに沿っての勉強会を続けました。
 この日の興味深い報告は、一部メンバーで出かけた東北の縄文遺跡探訪旅行の成果で、陸前高田市の獺沢貝塚の大洞式土器は印象的でした。(画像はありません)

 フォーラムでお披露目予定なのは井山紘文画伯制作の遺跡のジオラマ。20号の大きさでの設計を現在検討中。人物や丸木舟の超ミニチュアのフィギアは試作品ができてきました。
 考古学研究者との対話の中で、旧地形が復元され、中期/後期前・中葉/後期後葉〜晩期に分けられた集落の姿が作られていく予定です。

遺跡のジオラマの設計図

彩色前の人物や丸木舟、こんなに小さい!

 また、今回も見沼たんぼの第二遺跡からS君が新たに採取された土器片や石器をみんなで整理しました。
 特に半円型の石器は実際に握ってみると、人差し指が石器の縁のへこみにフィットし、とても機能的であることが体験できました。
 

恒例となった採取遺物の整理

この石器はこのようにに持つと手が疲れない


 9月の第24回ワークショップは、連休さなかの17日(日)。午前中はフォーラムで紹介されるプロに制作をお願いした自主制作ビデオ作品の撮影です。
 小室山遺跡を背景に阿部芳郎先生が遺跡について説明するインタビューロケが、予想された台風13号の影響もなく順調に進み、つづいてさいたま市立浦和博物館に場所を移し、人面付土器と、両面に土偶のついた深鉢の撮影を行いました。

  
遺跡を背景に阿部芳郎先生、飯塚ご夫妻、井山画伯のインタビューロケが順調に進みました

人面土器を撮影、プロの撮影はとても丁寧です

人面付土器と、両面に土偶のついた深鉢

ついでに私もガラスケース越しでない撮影ができました(クリックすると大きいサイズの画像がアップします)
 午後は三室公民館で、フォーラムの準備と、勉強会。フォーラムの副題「語りつぐ見沼文化」のプログラム内容を確認したり、マスコット・キャラクターや遺跡のジオラマ制作過程を見せてもらいました。(→レジメ

 マスコット・キャラクター「オムちゃん」「ムロさま」は井山紘文画伯のお嬢さんによるデザイン。
加曾利B1式の「突起土偶」が「オムちゃん」に、上記の安行3c式人面文土器の人面「ムロさま」は仮面として象徴化され、すてきなキャラクターに変身しました。
 このキャラクターがプリントされたTシャツ(非売品)も完成。そのほかフォーラムでは、このキャラクターを塗り絵にして来場者に差上げたらとかどうかなど、楽しい会話が弾みました。

マスコットキャラクターの原画を検討

「オムちゃん」が胸にプリントされたTシャツ

「仮面の色は縄文工芸の漆の色、赤と黒にしましょう」
 
Tシャツ背面のデザインです


遺跡のジオラマも地形の姿が具体的になってきました
  

小室山に住む槍を持った縄文人と縄文犬
数ミリの大きさです
最後に恒例の馬場小室山遺跡入門講座は、題して『「見沼文化」における漆芸の発達―』。
寿能泥炭層遺跡出土の「加曾利B式」漆塗りの木器と土器の関係などについて、最新の研究の一端を鈴木正博さんに紹介していただきました。

S君が前日に第二遺跡から採取の土器も披露され、中でも加曾利B式の注口土器の破片は注目に値する資料でした。

昨日採取したという土器片も。

加曾利B式の注口土器の破片です

以上、秋のフォーラムへ向けて、楽しいメーキングドラマが現在進行中です。
10月8日はフォーラム実行委員会、そして10月15日がフォーラム本番です! 主体的なご参加をお待ちしています!