2005.1.17 By.ゆみ

変貌する八千代の風景 村上駅周辺の史跡散歩 V

関連資料 ⇒史跡MAP   ⇒「村上村明細差上帳」

6.おしどり伝説の「片葉の弁財天」と「正覚院」

「片葉の弁天様」


 浅間神社の台地から小さな谷を隔てて、真言宗寺院「正覚院」があります。

 参道の手前は、一段低くなっていて、阿曽沼の名残りをとどめる小さな堀に囲まれた島の中に、弁天様が祀られています。

 正覚院のおしどり伝説にちなんで、おしどりの片羽を祀ったため片葉のあしが茂ると伝承され、「片葉の弁天様」と呼ばれています。
 このあしに下がっている輪にした糸一束をもらってきて首に巻くと、口の中や喉の痛みに効くと伝えられ、治ると倍にして奉納するといいます。

 また、堀には、j地震で落ちたお寺の鐘が沈んでいるという沈鐘伝説もあります。

 この弁天様を「村明細帳」の「弁財天」にあてるとしたら、「長5間横6間半」ほどの広さだったことになります。

 「正覚院」は鎌倉時代の釈迦像を祀る古刹で、この釈迦像は清涼寺式釈迦如来像という中世前期の律宗系の寺院に見られる珍しい形式の釈迦像です。
 参道入り口の左横には中世の土塁が残り、また本堂背後の高台にある墓地の一角には市内最古(1411年)の宝篋印塔があります。また墓地整備の際の発掘調査では、中世の薬研堀の堀跡も見つかりました。

 最近、境内には石造物がたくさん増えて、ちょっとけばけばしい感じもしますが、緑の濃い静かな境内の、特に4月の花祭りの釈迦像ご開帳は風情があります。


正覚院本堂 (最近石造物の奉納が増えてきた)

正覚院釈迦堂

参道入り口左の駐車場の土塁

市内最古(1411年)の宝篋印塔

7.八千代市立郷土博物館入り口の路傍の神々
 
 正覚院から16号線へ抜ける道沿いには、八千代市立郷土博物館入り口付近に馬頭観音や廿三夜塔、道標を刻んだ庚申塔、などが並んでいます。
 ゆっくり観察したいのですが、車が狭い道いっぱいに通り抜けるので、いつもひやひやさせられる道です。
 小さな祠のある道祖神には、足の健康のご利益に感謝してぞうりがたくさん奉納されています。


冬枯れの小菊に埋もれた馬頭観音塔(博物館入り口路傍)

ぞうりが奉納されている道祖神

8.村上神明公園

 国道16号線の横断歩道を渡り、ホームセンターの広い駐車場を抜けると、村上団地の一角に広い緑地公園があります。
 団地ができる時、「神明宮」境内の自然地形にあまり手を加えず、公園として残した村上神明公園です。
 包含されているであろう遺跡もそのままに、かつての村上の景観を今に、そして未来に伝えています。


村上の自然地形がよく保存されている村上神明公園

公園内の神明社は今も団地住民を含め
近所の方々の信仰を集めている